「天空に燃える、青海門源」(中国の旅 上)


山に枕して鼓動を感じる
大地にくちづけし
抱きしめられて眠る
黄河の源流 せせらぎに
甘美の囁きを聞き
朝露に濡れる 息づかいを
感じるうちに
そそり立つ山に 溶け込み
一つとなって 生まれかわる
祈連山脈の 向こうに
真っ黄色い海が広がる
山中を彷徨えど
露の衣に 姿は見えず
一塵の風に舞い 花の香は
甘い蜜の布を 着せかける
愛しさに やすらぐ
神々が生きる大地
青海門源

平成18年7月19日 白光詩

まっ黄色の菜の花畑。行けども行けども、大海を小船で進むごとく、黄色の波に包まれ、筆は甘い蜜をからめ取る……。


雑誌の表紙文字を書いた事で出会った、ジャパンローヤルゼリー( http://www.jrj.co.jp/ )山口会長の熱く語る、中国チベットの近く、青海門限(せいかいもんげん)にある菜の花畑。是非その菜の花畑で次作の『空シリーズ』を書いて見たいとの思いが叶った。


成田から西安へ。西安で一泊し翌日飛行機で西寧市へ。更にバスで青海省門源へ向かう。西寧市は海抜2500mほど。高山病に弱い人は西寧ですでに頭痛がする人もいる様子。門源はもっと高いところにあり、標高3500m。酸素は更に薄くなり、酸素ボンベを携帯しての道のりである。車窓から見る景色は、町並からレンガの家、ヤギの放牧、少数民族の村々と変わっていく。舗装はしていても道は悪く、時々席から落ちそうなほど体が飛び上がり、天井で頭を打つ。そのうち、黄色と緑の畑があらわれた。まるで野山にパッチワークをしたように広がる景色。「こんなもんで感動してたら駄目ですよ。目的の菜の花畑はまだ先。」と言われてしまう。


そして西寧からゆられること4時間。突然、目の前に広がる真っ黄色の畑。緑はない。右を見ても左を見てもどこまで行っても菜の花だ。祈連(きれん)山脈、崑崙(こんろん)山脈、大坂(だいばん)山に囲まれた1億2000万坪(日本の淡路島より広い)の土地がすべて菜の花で埋め尽くされている。スケールの大きさに息を飲む。海抜3500mのこの土地に咲く菜の花は日本で見られるものより少し小さく、『小油菜』という。冬は零下30℃になるこの土地は土中の菌が冬の寒いに死んでしまうため農薬を撒く必要がなく、化学肥料も使わず全て自然のままで育つ。そのため世界中から注目の大地である。

私はこの菜の花大地(畑というには広すぎる)を見下ろす海抜4000mの山の麓で制作。墨に顔料を混ぜ心象風景を画がき、「前章」の詩を即興で書き込む。初めての顔料を使った作品が出来上がり、しばし「ウム……。」右手に筆を、左手に酸素ボンベを持っての制作は少々笑いを誘うが。

わずか一点の作品しか出来なかったが、新しい手法での制作は、これから白光作品の中で燦然と輝くであろう。 (続く)