風林火山
防衛庁統幕議長所蔵

 

山梨県にある雲峰寺で、仏様の腹から風林火山の旗が発見されたことを知り、その地に赴いた。古びた寺で、旗を見学した後に、日当たりの良い縁側でうとうとしているときに夢を見た。武将たちが、自らのプライドの証である旗を仏に託し、 負けが決まっている戦に出向くイメージだった。この作品はそこから生まれた。

 

風林火山

馬が走る 人が急ぐ
ざわめきの息の中 甲冑の音
疲れきった体に
膝が抜けるような石段
待ちかまえる仁王像
命を 命を 旗を 旗を

葉擦れの音 清やかに
木漏れ日 和わらかに
暫しの安息
遠くより聞こえる 小鳥の囀りに
何者にも恐れないものを
心に吹き込まれたかの様に
「うむ」・・・・・・と
戦士は立ち上がり
石段をゆっくり 降りて行く

苔むした 羅漢仏は
足元に静かにこうべを垂れて
背後には山門の仁王像が 黙前と
過去 現在 未来
すべてを飲み込む