パールハーバー/アリゾナ・メモリアル

 1991年、日米開戦50周年を期に、ハワイのパールハーバーへの日本からの公式献花が許可された。平和への想いを込め、ハワイのアリゾナ・メモリアル記念館で作品「和」を制作。同記念館は、日本軍の奇襲で沈没した戦艦アリゾナ号を保管、展示している施設。


そこには数十億年の昼と夜
そして  永遠の時間があった
生命の発する  騒めきの中
地中より  名もなき大樹が
天を貫き 座す

枝は空を剣で突き刺すように仰ぎ
そのすき間から  数万匹の
黄色い蝶が 風に吹かれ 飛びたつ
海峡を越え 戦いと 愛の深みを
駆け抜け 静かな 波の湾にたどり着く

耐え難いほどの深淵と奈落の
闇の波に燐光を発し
次々に ひらひらと没していく
儚くも 無力なこの世の喜びを抱きかかえ
暗闇に眠る 愛しき者達へ
希望という時の流れを送り続ける

 地球ができる時に大地から生まれた大樹が天を貫き、そして人類が現れるというキリスト教の聖書の中の物語だった。それはまた象形文字の生命の安らぎを育む大樹でもあった。儚い生命を宿す蝶の群は、一、二匹しかたどり着かないという自分たちの運命が分かっていても、軍団となって海を渡る。その蝶は、人類の希望と平和への願いを込めた未来へのメッセージであった。 (自伝「翔夢」より)